健康な身体を支える骨の機能と役割【骨には筋トレが良い!】
リガッツつくば店の栗島です。
本日は活動的なライフスタイルを送るうえで、骨、腱、靭帯等の「結合組織」はとても重要な役割を担っています。
普段の生活であまり意識することはないかもしれませんが、トレーニングを続けていくうえでも、結合組織の役割や機能について理解しておくのはとても重要です。
今回は結合組織、その中でも特に骨の役割や機能についてご紹介いたします。
皆さんはご自身の骨や腱、靭帯について、どれくらい興味をもっているでしょう。
例えば、骨折や捻挫等の傷害を負ってしまった場合は、それらを早く治すために色々と調べたりすると思いますが、普段はそれほど関心がないのではないでしょうか。
結合組織の中でも特に骨は、単に身体を支えたり、動かしたりするためだけでなく、その他多くの機能や役割を担っています。
今回は、特に骨の役割や機能に焦点をあて、骨がどのような機能をもち、また日々の健康にどのような形で寄与しているかについての投稿です。
骨の役割と機能
成人の骨は206個あるとご紹介しましたが、骨の形や大きさは実に様々です。例えば、胸骨の一部である剣状突起(胸骨の一番下にあるとがった骨)は、2~3cm前後の非常に小さい骨であるのに対し、大腿骨のように約40cmという大きな骨もあります。
骨は筋肉、腱、靭帯、関節、神経、循環系(血液、リンパを循環させる器官の集まり)など、身体運動に関わる多様な組織・器官と密接に連携し、「運動器」としての役割を発揮しています。
運動器とは、身体運動に関わる骨、筋肉、関節、神経等の総称であり、自分の意思で活用することができる唯一の組織なので、運動器の障害は直接我々の生活機能の低下に結びつくことになります。
運動器の中でも特に骨が担っている役割は非常に多く、基本的には身体を支えることにあるのですが、それ以外には脳や内臓の保護や、造血作用などがあります。
また、骨はカルシウムを貯蔵する機能や、血中のカルシウム濃度が低下した際に、骨に貯蔵してあるカルシウムを血液中に放出し、一定量を維持するという働きもあります。
ちなみにカルシウム=骨といったイメージがあるかもしれませんが、カルシウムは骨強度を高めたり、それを維持したりするだけでなく、神経系の情報伝達や筋肉の収縮、血液の凝固などにも欠かせない物質です。
骨を強くするという目的以外にも、重要な微量ミネラルだということを覚えておくと良いです(^^)
以下で簡単に骨の機能を挙げていますが、いかがでしょう。普段皆さんが思っている以上に、多くの機能があるのではないでしょうか。
【骨の機能】
支持作用:頭部や内臓を支持し、身体を支える保護作用:骨格を形成し、頭蓋骨や胸腔等、脳や内臓など重要な器官を保護する
運動作用:付着する筋、腱の収縮・伸張等により可動性のある関節を支点に運動が行われる
造血作用:骨髄(赤色骨髄)で、赤血球や白血球、血小板を新生する
貯蔵作用:カルシウム、ナトリウム、カリウム、リン等の電解質が骨中に貯蔵され必要に応じて血中に放出される
骨形成のメカニズム
骨は大きく分けて皮質骨(緻密骨)と海綿骨に分けられます。
骨は軽量かつ頑健さが求められるため、外側の皮質骨は非常に密度が高く頑丈にできており、一方の内側の海綿骨は骨髄腔内に広がる骨梁と呼ばれる小さな骨の集まりになっています。
さらに、骨梁に囲まれた空間には多くの血管と血液が流れ、骨髄を形成しています。
ちなみに、骨粗しょう症等で初期の骨量減少が認められるのは海綿骨です。
骨は常に生まれ変わっている(骨形成と骨吸収)
私たちの骨は、成人になり、成長が止まったあとにおいて、高齢になるまで変化しないと思われがちですが、実は常に骨の中身は新しいものに入れ替えられています。
我々の骨は常に新陳代謝が活発に行われているわけです。
これを骨のリモデリングと呼びます。
この新陳代謝の過程では、まず骨を壊す働きをする“破骨細胞”が骨を吸収(骨吸収)します。
そして、骨を作る働きをする「骨芽細胞」が、破骨細胞によって吸収された部分に新しい骨を作る(骨形成)のです。
骨は、2か月から5か月までかけて作り直され(リモデリング)、1年から4年までの周期でこれを繰り返すと言われています。
また、1年間でおよそ20パーセントの骨がリモデリングされていると言われています。
骨は1年間でおよそ20パーセントもリモデリングされています。
このリモデリング、つまり骨形成と骨吸収のバランスが崩れるといわゆる骨粗しょう症となります。
この骨形成と骨吸収は、骨細胞自体がそれぞれの細胞と情報のやり取りをすることによって、バランスが保たれていることがわかっています。
骨細胞は、骨を丈夫に保つために、自らが現場監督になり、新たな骨の形成や古くなった骨の回収を指揮しているのです。
最近の研究では、この指令に使われる生体内での物質も発見され、骨がフレッシュに維持されるメカニズムが解明され続けています。
骨強度を増加させるトレーニングの種類と方法
骨の強さ(骨強度)は、骨の量(骨量、骨密度)と骨の質で決まり、骨密度と筋力、筋量の間には、一つが増加すると他も増加するという「正の相関関係」の存在が、これまで多くの研究で報告されています。
また、レジスタンストレーニングを行っているスポーツ選手は、同年代で運動していない人に比べて骨密度が高いことが報告されています。
その理由は、筋収縮によって生み出される力が骨に与える力学的ストレスを増加させることで、骨自体はそのストレスに耐えるので、骨の質量と強度が高められるためです。
したがって、筋トレによる筋力や筋量の増加は、骨密度の増加にも貢献することが考えれます。
さらに、新たな骨形成を促すには、「負荷の特異性」、「負荷のスピードと方向」、「トレーニング量」、「適したエクササイズ種目の選択」、「漸増性過負荷」、「多様性」などが重要になってきます。
負荷の特異性については特に重要で、骨格の特定部位へと直接的に負荷が加わるエクササイズを選択することが要求されます。
例えば、大腿骨の骨密度増加には、ランニングが適した運動といえますが、手首の骨密度を上げるための種目選択としては適しているとはいえません。
これらは、特に骨粗しょう症を起こしやすい部位の骨量増加のトレーニングを考えるときなどに、非常に重要となります。
また、骨盤や脊柱等の骨密度増加には下肢に大きな衝撃を与えるバスケットボール、バレーボール等、ジャンプ動作が入る競技が効果が高いと言われています。
ではトレーニングの場合は、どのような種目がよいのでしょう?
基本的には複数の関節が関与して、力のベクトルが脊柱と股関節を通るエクササイズが推奨されます。
つまり地面に対して垂直方向に圧力がかかるエクササイズを選択し、自重よりも一定以上の負荷をかけて行うのが良いとされます。
したがって、トレーニングの場合は、下の画像のようなスクワットが骨密度の増加に大きく貢献すると考えられます。
まとめ
運動やスポーツはもちろん、何か難しい作業を行う時に「○○をうまくやるには、ちょっとしたコツが必要です」等と言われることがありますが、このコツとは「骨(コツ)」が由来らしいです。
「骨は身体の中心にあり、身体を支える役目を果たしていることから、人間の本質や素質などを意味する」となっています。
そこから、コツは勘所や要領を意味するようになり、物事の本質を見抜き自分のものにすることを「コツをつかむ」と言うようになったとされています。
今回は骨の機能や役割について紹介しましたが、人の臓器や結合組織は、古くなったからといって、車のパーツのように新しいものと取り替えることができません。
故障しても終生同じものを使用し続けなければいけませんので末永く大事に使う“コツ”を掴んで、健康な生活を送りたいですね(^^)